遅めの結婚の記念写真
遅めの結婚の記念写真
世の中の結婚適齢期が30歳前後と言われる中、それより随分遅い出会いと、結婚を経験しました。2人とも初めての結婚でしたが、世の中の一般的とされる結婚式を開くには、もう気恥ずかしい年になっており、結婚式という、準備に多くの時間を割くであろう会を開催する気にもなれませんでした。
そんな中、周りからの薦めで、形だけでも残すほうが良いという声をいただき、少し悩んだ結果、写真館での写真撮影を行うことに決めました。
最初は本当に簡単な2人だけの写真撮影を希望し、写真館の方にもその旨お伝えしました。
形だけが残ればいいという単純な思いでした。
結婚写真という形への思い
写真撮影の日が近づくと、自分たちよりも親のほうがそわそわしています。
別に結婚式を開くわけでもないのに、エステに行ったほうがいいのではないか、ダイエットをしたほうが良いのではないかと、やたらおせっかいです。
また2人だけで簡単に済ませるつもりの撮影でしたが、日が近づくにつれて、やっぱり撮影を見について行こうかしら、と何やら親の気持ちが高まっているのが感じ取れます。
気恥ずかしい私たちとしては、見に来てほしくないという気持ちが勝っており、断り続けました。
しかし、ついに撮影前夜、やっぱりあちらの両親もご覧になりたいはずよ、と私の親に押し切られ、当日は急きょ両家の親も揃って写真館へ向かうこととなりました。
両家の記念写真
急なことにも関わらず、時間を調整して写真館に駆けつけてくださった夫のご両親は、本当にうれしそうな顔をされていました。
夫の両親は、本当は見に行きたかったんだけど、2人だけでと言っているあなたたちの邪魔をしては悪いからと言って気を使ってくださっていました。
考えてみれば大事な息子の晴れ姿、見たくないわけがありません。
一般的な結婚よりも遅くなったからこそ、誰よりも子供のことを心配していた親にとっては大切な日と感じていたに違いありません。
結婚式を挙げてほしいという思いも少なからずあったはずです。
2人だけで、簡単に、と自分たちの都合ばかりを前面に出して両親の気持ちを考えなかった自分たちの勝手さを恥ずかしく思うとともに、せっかくみんなで集まることができたこの機会に、今の姿を形に残したいと思いました。
写真館の方に相談し、私たちの写真と合わせて、家族6人での記念写真も撮っていただくこととなりました。
写真館の方もそれは素晴らしいことだと賛成してくださり、急な提案にもかかわらず喜んでお受けいただきました。
写真館で撮影という急な事態に、両家の親は落ち着かない様子でしたが、プロの方たちのサポートもあり撮影は滞りなく進みました。
カメラを向けられて固まっていた両親も、撮影が終わるころにはずいぶんリラックスして楽しんでいる様子でした。
未来へ続いていく写真
写真館で撮影した写真のアルバムの完成までに一カ月ほどかかりました。
2人だけの結婚写真のつもりでしたが、ずいぶん形を変え、素晴らしいものが出来上がりました。
アルバムが出来上がったことを両親へも報告し、お食事を兼ねた鑑賞会を開き、写真をプレゼントしました。その瞬間が形に残ることの素晴らしさを改めて感じました。
もし、今回こういった形で写真を残そうとしていなければ、この素晴らしい瞬間を共有することはできなかったですし、親の深い思いを感じ取ることはできなかったと思います。
その写真は今も大切に、我が家のリビング、お互いの実家のリビングに飾られています。
世間一般より遅めながら、結婚という形、家族になるという形を選択した私たちにとって最初の「家族の絆」を感じることができた大切な機会となりました。
そして、その形が残っている限り何年たってもその時の想いを鮮明に思い出せます。
今回の件のように、大切な人と人のつながりや思いは日々の忙しい生活の中でつい忘れがちになってしまいます。
これから家族として共有していく素晴らしい時間を、これからもこうやって時々形に残していきたいと思いました。