お客様らしい写真をお撮りする原田写真館のブログ



お客様らしい写真をお撮りする原田写真館 | 原田太一のブログ
かけがえのない「今」、日々の生活のなかでうすれゆく過去の記憶だから、「今」をカタチに残します。
その写真は日々の暮らしの中で家族みんなに笑顔を与えます。家族みんなの気持ちを優しくします。家族の証となります。

父が還暦を迎えるにあたり、家族で話し合い、盛大にお祝いをしようということになりました。
家族や親戚を集めての食事会を計画したのですが、肝心の本人は、恥ずかしがり屋の性格が災いし、そのような会を開催することをとても嫌がったのです。
「簡単な食事をするだけだから」と説得しても、なかなか首を縦に振りませんでした。
そこで私たち子供たちが集まり、食事会に代わるお祝いが何かできないかと話し合うことになったのです。
これまで家族のために一生懸命働き、私たちを支えてきてくれた父の人生の節目を、何とかしてお祝いし、感謝の気持ちを伝えたい一心でした。
姉妹4人の間でいろいろな意見が交わされ、「プレゼントや手紙を贈る」ことは当たり前の案として提案されたのですが、今一つパンチ力に欠けるというか物足りない気持ちでいたところ、1人が「写真館で家族写真を撮ろうよ!」と言い出したのです。
同じ写真は写真でも、写真館に出向いて家族全員で還暦記念写真撮影してもらえば、ますます父の心に深く思い出として刻まれるのではないだろうか、という結論に至りました。
ですが、さっそく問題にぶつかることとなるのです。
あの恥ずかしがり屋の父が、果たして写真館まで行って写真撮影することに同意してくれるかどうか、それが大きな壁でした。
しかも、私たち家族の中にも写真館で写真撮影をしたことがある人間がいないということも、写真館での撮影に大きく不安を感じさせることとなってしまったのです。
調べてみればみるほど、そこには意外な世界が広がっていたのです。
単に「還暦祝いの写真撮影」といっても、私たちのイメージでは、ただ家族が揃って写真を撮るだけだろうと思っていました。
ですが、近年の写真館では還暦祝いの撮影とくれば赤いちゃんちゃんこを着せて撮影してくれたり、本人だけが写る写真と家族全員で写る写真をセットにしてみたりと、様々な趣向を凝らした撮影を行っているのです。
単純に写真1枚撮るだけなのに、撮られる側のことをよく考えて撮影してくれるということが、ひしひしと伝わってくるようでした。
写真を撮る時や瞬間というものは、思い出や記念に残したいからです。
そんな人の気持ちを汲み取り、写真撮影を単純な作業としてとらえるのではなく、撮られる人の心に少しでも美しく残したいという写真館の想いがあふれていることに驚かされました。
しかもテレビCMや宣伝広告でよく見かける大手の写真スタジオだけではなく、街中にある小さな写真館やスタジオでも、趣向を凝らした撮影を行っているのです。
私たち姉妹は、近年の写真スタジオの進化に驚かされるばかりでした。
恥ずかしがり屋の性格の父は、普段から多くの人が何気なくする写真撮影も当然ながら嫌がっていたため、説得は難航することが予測されたのです。
話をすると、案の定「行かない」の一言でした。
これは想定内だと私たちは尻込みせず、さっそく本格的に説得を始めました。
今やだれもが気軽に写真館を訪れて写真撮影する時代であること、最近の写真スタジオは随分進化し、楽しく写真撮影ができることなど、自分たちで調べ上げた情報を武器に父を説得したのです。
何よりも還暦という一生に一度しかない大事な人生の節目を、家族と一緒に写真として記念に残したいことを伝えました。
「わざわざ写真スタジオに行かずとも、デジカメで撮ればいいじゃない」の一言に、打ちのめされそうになりましたが、せっせと写真館の良さをアピールし続けました。
恥ずかしがり屋なうえに、面倒くさがりな性格でもある父からすれば、確かにわざわざ写真スタジオに出向く必要はないのかもしれません。
ですが、家族みんなで写真館に行ったということそのものが、思い出や記念になるということをわかってほしかったのです。
そのことを必死になって伝えると、父はようやく折れて写真館に行って還暦祝い撮影することを了承してくれました。
私たちが選んだ写真スタジオは、街中に昔からある写真館です。
随分昔からそこに写真館を構え、長い歴史があり、近所の人からも親しみを持たれる写真館でした。
ですが、そんな写真館なのに私たち家族は誰一人としてそこで写真を撮ってもらった経験がなかったのです。
だからこそ、この還暦という記念すべき日に家族で足を運べることに私は喜びを感じました。
事前に予約してから訪れたこともあり、扉を開けるとすぐにお店の受付の方が名前を確認しながら「還暦の写真撮影ですね」と笑顔で迎えてくださいました。
ふと父の顔を見ると、ド緊張の顔。
こんな顔でいい写真が撮れるのだろうかと、家族のだれもが不安を感じた瞬間だったのです。
事前にお願いしてあったこともあり、父にちゃんちゃんこを用意してくださっていました。
私たちは、事前にちゃんちゃんこを着て撮影することを伝えれば、きっと嫌がるだろうと思い、父にはそのことを伝えていなかったのです。
ここからは想定外の連続でした。
恥ずかしがり屋のわりに、意外と嫌がることもなくそのちゃんちゃんこにさっと袖を通す父。
ここで嫌がっては写真館の人に申し訳ないと、きっと父なりのとっさの判断があったのでしょう。
その後もお店の人に促されるまま、立ち位置にさっと立ち、あごをひき、素直にカメラに目線を向けるのですが、問題は表情でした。
スタジオに入った時からこわばっていた顔が、相変わらずひきつったままだったのです。
「お父さん、顔!顔!」「顔が怖すぎるって!」と、家族から容赦ないダメ出しが続く中、「緊張しなくても大丈夫ですよ。ゆっくり表情作っていきましょうね。」と優しく声をかけてくださったのは、カメラマンの方でした。
何人もの人の人生の節目に立ち会い、いろいろな表情を映し出してきたその道のプロであることを、わたしたちは痛感させられたのです。
「これまでの人生で楽しかったことを思い出してみてください。」「昨日の晩御飯はなんでしたか?」いろいろな言葉を父にかけながら、自然と笑顔を引き出してくださいました。
時に和やかに、時に面白おかしく、最近のプロのカメラマンさんはそんな話術まで持ち合わせているのだと、感心させられるばかりでした。
おかげで写真撮影は滞りなく終了し、私たち家族は大満足で写真館を後にしたのです。
出来上がった家族写真は、家族の絆を改めて確認させてくれる貴重な存在
さっそく受け取りに行ったところ、受付の方が「いい写真が撮れていますよ」と声をかけてくださったので、ますます仕上がりが楽しみになったのです。
その場ですぐに見たい気持ちを抑え、父と一緒に見るので楽しみは取っておきますと写真館をすぐに後にし、急いで家に帰りました。
出来上がった写真を家族全員で集まって覗き込むように見てみると、そこにはデジカメやスマホのカメラでは撮影できないような、素晴らしい写真があったのです。
写真の光沢感やツヤ感、鮮やかな色彩感覚まで、さすがは写真館!と思わずにはいられませんでした。
中でも真ん中で写る父の笑顔の輝いていること。
こんなに自然に笑っている父を、久しぶりに見たと驚くほどでした。
照れ屋でもある父は、「まあまあきれいに撮れてるね。」と一言言っただけでしたが、私たち家族には、それが最高に満足しているから出てくる一言であることをよく理解していたのです。
「お父さん、これどこに飾る?」「そんなのわざわざ飾らなくていいよ。」そんな返事も想定内でした。
飾らなくていい。という父の言葉は無視し、現在その写真はリビングの真ん中にある飾り棚の上でどんと構えています。
それはそれは立派な額縁に入れられて、いつも私たちを見ているのです。
家族が集まるたびこの還暦祝い写真が話題に上がり、はじめは写真館での写真撮影を嫌がったことや、実際に撮ってみると、誰よりも父の笑顔がはじけていることなどで話が盛り上がります。
父の還暦に写真館で撮ったこの写真は、リビングという場所で私たちの日常に馴染み、家族の絆を改めて確認させてくれる貴重な存在となったのです。
人生に一度しかない父の還暦。
ただ写真を撮るだけではなく、わざわざ写真館に行って写真を撮って、本当に良かったと家族全員が心から思っています。