原田写真館のブログ

お客様らしい写真をお撮りする原田写真館 | 原田太一のブログ

かけがえのない「今」、日々の生活のなかでうすれゆく過去の記憶だから、「今」をカタチに残します。

その写真は日々の暮らしの中で家族みんなに笑顔を与えます。家族みんなの気持ちを優しくします。家族の証となります。

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写真のある生活 〜写真館は未知の自分を引き出すカウンセラー〜

些細なきっかけで人生が変わる?
 

私は27歳の社会人で、付き合って3年の彼女がいます。一般的には3年経てば倦怠期が訪れると言われていますが、確かに2年目の後半あたりからデートが味気なくなっていきました。デートのコースはいつも同じで、食べるものも同じ。少し気分転換をしようと別の場所に行ってみてもお互い感動がありませんでした。喧嘩する回数も増えていき、これはもう駄目かもしれないと思ったのを覚えています。倦怠期というのは突破口が見つからない限り、時間が解決してくれるということは無いと思います。なぜなら倦怠期を乗り越えられないケースが殆どだと思うからです。しかし、私はなんだかんだ言っても彼女のことが好きでしたし、彼女を失ったら毎日がとても色あせたものになることも分かっていたつもりです。

ある日の夜。この時も彼女からのラインを適当に流しつつバラエティ番組をみていました。コンビの芸人が街歩きをする番組です。ゆるゆると流れる時間が心地よく、酒を飲みながら見ていると全てがどうでも良くなるような、そんな時間でした。彼女から送られてくるラインの通知が煩く感じて消音モードにしながらその番組を見ていました。すると二人は街歩きのなかで寂れた写真館を目にします。私はその写真館の中のスタジオで様々なポーズを取る二人を観ながら「たかが写真で盛り上がっているなぁ」と独りごちていたように記憶しています。しかし、カットが変わり、実際に撮影されたものを見て私は驚きました。私が持っているそのコンビに対する印象とは全く異なる人物がそこに写っていました。その印象とは「こんな人だっけ」というネガティブなものではなく、「あ、この人ってこんな面もあるんだ」という驚きにも似た感情だったと記憶しています。

たかが写真。カメラマンによってはされど写真

その日は泥酔したまま寝てしまい、翌朝はいつもどおり慌ただしく会社に行きました。会社ではうだつの上がらない安月給のサラリーマン。いつもどおりの仕事をこなして刺激がないままパソコンの画面に向かっていました。「(いつか転職してやる)」絶対に実現できない逃げ文句を心の中で唱えながら書類を処理していました。その日の昼間もいつもどおりの立ち食いそば屋でもりそばを食べました。食事をしているというよりも、エサを与えられている感じです。食事を楽しむなどという感覚はとうに忘れてしまいました。食後に喫煙所へ行くと彼女からのライン通知で携帯のバイブレーションを鳴っています。面倒くさいと思いながらメッセージを見ると「今週もいつも通りの場所でいい?」と書いてありました。私は「いいよ」と送ろうとしましたが、なんとなくその気になれません。「ちょっとまってね」と一言送ったあとに携帯でデートスポットを探し始めました。その時私は「(あの写真館はどうだろう)」と思ったのです。昨日観ていたバラエティ番組の名前で検索を掛け、なんとか放送されていた写真館の名前を突き止めたのですが、驚くことに職場の隣の駅にあるじゃないですか。私は定休日や開館時間も調べずに彼女にラインを送りました。「写真館に行こう。〇〇駅で朝10時集合」こんな文面を見た彼女はさぞ驚いたことでしょう。返信内容は「よくわかんないけどOK」というなんとも気怠そうな内容でした。無理もありません。私だってこんな文面を送られたら「この人どうしたんだろう」と思います。

写真館はやはり入りにくいもの
 

 

 

 

デート当日。私は待ち合わせの場所で待っていました。しかし時間になっても彼女の姿が見えません。ラインが鳴ってメッセージを見てみると「どこ?」と送られてきました。私はメッセージ通り◯◯出口の改札前で待っていました。しかし彼女はその出口の改札前ではなく、駅の外で待っていたようです。急ぎ彼女のもとに駆けつけて謝ると「メッセージ分かりにくいよ」と言うじゃありませんか。ちょっとしたすれ違いにも関わらずそんな言い草をする彼女にカチンと来て、人通りが多い場所にも関わらず大声で喧嘩してしまいました。お互いスイッチが入ると周囲が見えなくなるので気付いたときには距離を置いた人だかりと2人の駅員に囲まれていました。なぜか2人の痴話喧嘩をご年配の駅員が宥めている状況に私達は白けてしまい、そのまま沈静化。何も言わずに写真館に向かいました。当然道すがら会話はありません。無言のまま徐々に重い空気になっていきます。写真館の前につくと、寂れた外観と重そうな扉に気が引けてしまいました。彼女は「帰る?」と一言。私はまたムッとして「帰れば?」と言いながら一人で写真館の扉を開けました。ホコリ臭い館内には色あせた写真が壁中に飾られています。すると、奥の部屋からヨボヨボと歩いてきた紳士風のご老人が嗄れた声で「予約した?」と言ってきました。定休日も調べていませんから予約などしているはずもありません。「いや……」と黙り込む私の後ろから彼女が黙って入ってきました。3人で沈黙するなか、ご老人は一言「スナップは3万円4カット」と言いました。私はスナップという言葉もカットという言葉も分からず、なんとなく「お願いします」と言ってしまいました。その後に何が待っているのかも分からず……。

ご老人の写真館店主に振り回される2人

 

料金は後払いになっているようで、そのまま上のフロアに案内されました。その時私は驚きました。写真館なので当たり前かもしれませんが、入り口の寂れた雰囲気からは想像も付かないパリのスタジオのような空間がそこには広がっています。私と彼女は愕然と立ち尽くしたまま、今まで経験したことの無い空間で固まっていました。ご老人は撮影の道具であろう大きな銀色の傘の下から顔をひょっこり出して「こっち。そこじゃ撮れないよ」とケタケタ笑いながら手をこまねきます。何がそんなに面白かったのかは分かりませんが、2人して銀色の傘をくぐって白い垂れ幕の前に立ちました。私達の立っている脇には撮影道具と思われる椅子やボール、なかには模造刀などもありました。何をされるのかわからないままいきなりフラッシュが焚かれました。私達はますます訳が分かりません。「ねぇ、これもう始まってるの?」「いや、わからん」そんなやりとりをしている最中も再びフラッシュがたかれました。ご老人はカメラの前からはなれて忙しく小道具を集め始めました。私達の前にビロードの椅子が運ばれてきます。「彼女さんはリラックスして座って、彼氏さんはその後ろで執事みたいに立っててね」いきなり指示を出された私達はされるがままにその通りポーズを取りました。フラッシュが再び焚かれます。「今度は彼氏さんがリラックスして座ってみて。彼女さんは……そうだ!彼氏さんは社長。彼女さんは社長の愛人という設定で行こう!」ご老人はノリノリですが、当然そのテンションに私達はついていけません。ただしご老人はますます熱が入ってきます。「もっとこんな感じで!」「彼女さん色気出して!」お客とお店の立場が逆転したような感じで私達はあたふたしてご老人の指示に従っていました。全ての撮影が終わったのは20分後でしょうか。短時間でもどっと疲れる時間でした。撮影が終わった後は私と彼女の住所記入してお金を払いました。4日後に郵便でお互いの家に写真が送られるそうです。なんだか訳が分からないままその日のデートも味気ないまま終わったように思えました。

 

写真館の写真で人生が変わる瞬間
 

4日後と言っていたはずなのに2日後に写真は届きました。意表を突かれた私はいつも通り酒を飲みながら写真を開封しました。エンボス加工された上質な厚紙が4枚同封されています。それを開いてビックリ。私ではない私がそこには写っていました。そして彼女も同じく、私の知っている彼女ではありません。社長、剣士、役者、愛人などなど、そこには新しく発見した2人の姿が写っていました。彼女からの電話が鳴りました。「ね!写真届いた?」「うん、俺も見てる」「超ウケない?」「笑える」二人してゲラゲラ笑いながら、あーでもないこーでもないと何時間も喋っていました。こんなに盛り上がったのは何年ぶりでしょうか。この写真が私達に与えてくれた経験はこの瞬間に留まりません。翌日職場に言っても私の態度が変わったと同僚から言われるようになりました。「感じがよくなった」「取引先への対応が強気でかっこよかった」「成長した」意見は様々でしたが、なんとなく分かるような気がします。なんというか、感情の引き出しが増えたような気がしたんです。それは自分の知らない自分を新たに発見したような感覚でしょうか。そしてそれを忘れそうになった時は再び写真を見るようにしています。「(俺にはこんな顔もあったんだ)」そう思うだけで、間口が広がるような気がするんです。追い詰められる感覚を覚える回数はあの写真館に行ってから大幅に減ったような気がします。彼女とも言いたいこと言えるようになり、より関係が深まったような気がします。写真館はただ高いランクの証明写真が撮れる場所だと思っていましたが、あの場所は2人をカウンセリングしてくれる空間だったのだと、今は思っています。

 

 

 

 



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